院長あいさつ

恩賜
財団
済生会は明治44年に、明治天皇の「恵まれない人々にも医療の手を差し伸べるように」との済生勅語を受けて創設されました。
済生とは「命をすくうこと」を意味しています。当院は昭和13年に設立され、本年、令和6年をもって創立86周年を迎えます。平成21年に現在地の片淵2丁目に新築移転し、従来の慢性期型病院から”入院特化型急性期・救急病院”に変革をし、地域の患者・家族の方に喜ばれる病院、他の病院・診療所に選ばれる病院を目指して診療を行って参りました。
当院の理念は、「済生の精神をもって 心のこもった医療を実践する」ことであります。これからも創立の精神を継承し、生活に困窮している人々への支援に力を入れるとともに、安全で安心な最新医療を提供する地域に密着した急性期病院として、その使命を果たしてまいります。
当院の使命は多岐にわたり、中でも国や県から指定を受けた主なものとして次のものがあります。
①「地域医療支援病院」
地域のかかりつけ医療機関との連携、他の医療機関との共同利用、重症患者の受け入れ、地域の医療従事者への研修教育などを実践し、地域医療の充実に中心的な役割を果たします。
②「無料低額診療事業実施機関」
救いを求める当てのない、困り切った病める人に医療の手を差し伸べるという「済生の精神」に基づき“無料低額診療”と“生活困窮者支援”を根本事業として取り組んでおります。今後も使命感を持って生活支援を行いたいと考えております。
③「臨床研修指定病院」
研修医を積極的に受け入れており、多くの研修医が研鑽を積んでいます。基本的診察能力を身につけた救急・臨床に強い医師の育成に力を注いでいます。また、医学生・看護学生などの実習も受け入れており、将来の医療の発展に貢献しています。
④「災害拠点病院」
大規模災害時に多くの被害者の皆様を救うべく、ハード・ソフト面の充実を図り、演習を行って体制作りをしています。2016年4月の熊本大震災では当院のDMATを含め、2チームを災害直後の熊本に派遣し、医療支援を行いました。また、2020年から蔓延している新型コロナ感染症に対しても重点医療機関として患者の受け入れも行いました。2024年の能登半島地震に際しても、薬剤師、看護師の派遣を行い被災地の医療に貢献しています。
当院は新型コロナウィルス感染症重点医療機関としていち早く新型コロナ対応病床を確保し、患者さんの診療に当たってきました。令和5年5月8日からは5類に分類されインフルエンザと同等の取り扱いになりましたが、令和6年になり再び新型コロナウイルス感染症患者が増加しております。患者の増加と減少を繰り返しながらの状態が今後も続くものと思われます。当院は全室個室の利点を生かし、可能な限り新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを行っていく所存であります。
新型コロナウィルス感染症の蔓延で地域包括ケアシステムの推進が停滞しておりましたが、2025年さらに2040年を目途に、再び推し進めて行く必要があります。高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指さなければなりません。当院でも関連施設である済生会長崎福祉センターとの連携を図り、地域における包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供を行うことを目指しています。
長崎も人口減少の最たる地域であり、新たな地域包括医療への対応が迫られています。人口が減っても地域の医療をしっかりと守り、お互いに経営を成り立たせるためには、医療の役割分担を明確にすることが大切であり、関連病院や診療所の先生方とのなお一層の連携が必要と考えます。
当院は昨年、一昨年と年間2900件を超える救急車の搬入を受けており、地域の救急医療に貢献しており、今後も積極的に救急患者の受け入れを行なっていきます。
また、今年度より医療DX推進化に伴い、マイナンバーカード対応機器(3台)の設置およびシステムの導入を行なっています。さらに外来での待ち時間短縮のため、再来受付機の設置と自動精算機の設置をし、効率化を図っています。
昨今は地震や水害などの大規模災害が頻繁に発生しています。当院は災害拠点病院として、大規模災害に対する準備を怠ることなく訓練を行い、地域の方の安全と生命を守る役割を果たしていきます。
当病院の大きな特徴が“205床すべてが個室であること”であり、「ひとり一部屋、ひとり一人と向き合う医療を提供します。」 をスローガンにその長所を最大限に活かして医療の品質を追求し、可能な限り「断らない医療」を実践し、患者さんの満足度を限りなく高める努力を継続して参ります。
令和6年4月