sleep

患者さんへ

ごあいさつ

  当病院の睡眠医療センターは、ねむりに関わる悩み、心配、および苦しみに対応致します。

  • 寝付くことができない
  • 何度も目が覚めてしまう
  • ぐっすり眠ることができない

などの不眠は代表的な”ねむり”の問題です。また、

  • 昼間に眠たくて居眠りで注意される
  • 居眠り運転をした

などの眠気は不眠による日中の症状であるだけでなく、不眠がなくても眠気そのものが問題となっていることがあります。さらに、

  • 自分では気付かないうちに別の場所に移動していた
  • 寝言がひどい
  • 夜間暴れてしまう
  • しらない間に夜間、何かを食べている

などの夜間の異常な行動や

  • 朝から起きることができずに学校や仕事に遅刻する

ことで悩まれている方もいらっしゃいます。


  当センターでは、睡眠・覚醒が関連する諸問題に対する医療を提供致します。しかし、睡眠障害における解決されていない多くの問題が残されています。すべての問題に対して必ずしも十分に対応できないこともあります。 保険診療の枠組みでは明らかにできない、もしくは解決できない問題に対しては臨床研究の形で患者さん方にお願いすることもあるかもしれません。診断・治療の限界もふまえて現在の医学で可能な医療を患者さん方と考えながら行う所存です。


  近年、適切な医療を実現するためにはかかりつけ医を持つことの重要性が指摘されています。専門的な問題に関しては専門施設で診断・治療導入を行い、病状が安定していればかかりつけ医での診療を継続することが行われています。 かかりつけの先生方と専門医療機関と連携して患者さん方に適切な医療を提供することが大切と言われています。睡眠に対する診療に関してもかかりつけの先生がいらっしゃいましたら、まずはかかりつけの先生方に相談されることをお勧めします。 かかりつけの先生で対応が難しい問題に関しては近隣の睡眠専門外来、もしくは当病院をかかりつけの先生から紹介していただくことが望ましいと思われます。


  本サイトは適宜改訂し、情報を追加致します。関連サイトもご参照いただき、皆様のねむりに関する問題が少しでも解決できましたら幸いです。


平成27年8月1日 済生会長崎病院睡眠医療センター センター長 近藤 英明

自己診断をやってみよう!

以下の図で、睡眠障害についての簡単な自己診断を行うことができます。ぜひお試しください。

こんな症状があったら、専門外来を受診しましょう!
●過眠症    
ナルコレプシー

(外部リンク)ナルコレプシー
(外部リンク)反復性過眠症
  ・一日に何度も耐え難い眠気に襲われて眠ってしまう。
・寝入りばなに、鮮明な夢(悪夢が多い)を見る。
・笑ったりすると、カクッと力が抜ける。
・夜間金縛りあうことがある。
睡眠不足症候群   ・居眠りが目立つ。
・休日の睡眠時間は、通常より2時間以上長い。
●睡眠関連運動障害    
レストレスレッグス症候群
(むずむず足症候群)
  ・足がむずむずして眠れない。
・足に虫が這うような不快な感じがする。
・症状は夕方から夜にかけて強くなる。
・歩いたり足を動かしたりすると、不快感は軽減する。
・足が周期的にピクピクと動く。
●睡眠関連呼吸障害    
閉塞性睡眠時無呼吸症候群   ・激しいいびきがある。
・あごが小さい。
・昼間眠気が強い。
・太っている。
・扁桃腺が大きい。
・体がだるい。
中枢性睡眠時無呼吸症候群   ・心臓病がある。
・昼間眠気が強い。
・脳梗塞の既往がある。
・体がだるい。
●睡眠時随伴症    
レム睡眠行動障害   ・高齢者に多い。
・夢と同じ行動をとって叫んだり、暴れたりする。
・大きな寝言を言う。
夢中遊行   ・若年者に多い。
・行動を記憶していない。
・睡眠中に歩き回る。
●概日リズム睡眠障害    
睡眠相後退症候群   ・朝から起きることができない。
・早く寝ようとしても明け方まで寝付くことができない。
・遅寝、遅起きの生活であれば体調は比較的良い。
●不眠症    
精神生理性不眠   ・眠ろうとすればするほど眠れなくなる。
・眠ろうとすると考えが湧き出してくる。
・昼寝をしようとしても眠れない。



検査は毎週月曜日と水曜日に
1泊2日でおこなっています。

 この検査は頭、顔、脚、胸、腹など全身にセンサーを取り付け睡眠の質(眠りの深さや分断の状態)、呼吸状態、睡眠中の行動異常などを評価します。右図のようにたくさんのセンサーを取り付けますが痛みを伴う検査ではありません。
 夕食後に来院して頂き、入院の上で翌朝食前に退院となります。検査には検査技師が終夜を通して付き添います。

 PSG検査と同様に多数のセンサーを取り付けます。且つ、CPAP装置を鼻マスクにて装着し無呼吸やいびき等が消失するように圧(風の強さ)を調節します。一晩掛けて調整した設定で装置を貸し出します。
 日中の過度の眠気を評価する検査です。通常、PSGに引き続いて行います。顔、頭、心電図のセンサーを取り付けます。2時間間隔で4~5回検査を行います。終了時刻は検査の回数により変わります(通常16時か18時)。検査の合間も検査室で過ごして頂きます。
   
 
1割負担
9,640円
 ※病衣使用料は1泊2日で140円です。
 ※退院時に薬が処方された場合、別途薬代が発生します。
2割負担
19,280円
3割負担
28,910円

薬について

睡眠障害の治療に用いられる薬について説明いたします。薬は主に下記3つの症状や病気で使用されています。

  • 不眠
  • 過眠
  • レストレスレッグス症候群


睡眠薬

不眠の改善目的で睡眠薬が使用されることがあります。 薬を服用始めて数ヶ月内には薬剤を中止できるかどうかを検討することが必要です。 不眠のために睡眠薬を服用始められても数ヶ月以内で中止できることがあります。 長期に服用が必要かどうかは主治医の先生とご相談ください。

睡眠薬は作用する部位(受容体(注1))の違いで現在3つの種類に分類されます。 1) ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系薬剤 はγ-アミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid:GABA)の受容体に作用します(GABA-A受容体作動薬(注2))。 このGABA受容体作動薬以外に、2) メラトニン受容体作動薬 と 3) オレキシン受容体拮抗薬(注3)が睡眠薬として使用されています(表1)


表1.睡眠薬の受容体と受容体に作用する物質
受容体 脳内の物質 作動薬 拮抗薬
GABA-A受容体 GABA ベンゾジアゼピン系薬剤
非ベンゾジアゼピン系薬剤
エタノール
 
メラトニン受容体 メラトニン ラメルテオン  
オレキシン受容体 オレキシン   スボレキサント

※注
  1. 受容体とは細胞表面や内部に存在し、細胞外の特定の物質(ホルモン・神経伝達物質・ウイルスなど)と特異的に結合することにより細胞の機能に影響を与える物質の総称です。
    <レセプター>
  2. 作動薬とは受容体に働いて生体内物質と同様に細胞内に情報を伝える薬物です。
    <アゴニスト>
  3. 拮抗薬とは受容体に働いてホルモンや神経伝達物質の作用を阻害する薬物です。
    <アンタゴニスト>

GABA-A受容体作動薬

GABAは脳内で神経活動を抑制する作用があります。 GABA-A受容体作動薬であるベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は鎮静作用があり睡眠薬として使用されています。 両群の薬剤は共に入眠までの時間を短縮し、中途覚醒時間を減らす作用があります。 不安感を軽減する効果を有する薬剤もあります。 てんかんは過剰な神経活動によりもたらされますが、GABA-A受容体作動薬にはてんかん発作を抑えるものもあります。 アルコールもGABA受容体に作用するため、飲酒後に眠くなることがあります。 但し、長期の習慣的飲酒では催眠作用が減弱し、逆に不眠となることがあり注意が必要です。


ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の違い(表2)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z-drug)は、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に働きます。 但し、GABA-A受容体にはいくつかのタイプが存在しており、どのタイプの受容体に結合しやすいかにより催眠作用以外に抗不安作用や筋弛緩作用など催眠作用以外の効果が発揮されます。 BZDは、睡眠薬としてだけでなく抗不安薬・精神安定剤としても使用されています。 催眠作用が比較的弱く抗不安作用が強い薬剤は精神安定剤として開発されています。 抗不安薬・睡眠薬の両者の適応を取得している薬剤もあります。 睡眠薬として使用する際には、その作用時間の違いにより使い分けられています(表3)。 筋弛緩作用は、転倒・骨折の危険性を高める恐れがあり特に注意が必要です。 Z-drugは、筋弛緩作用が緩和されており催眠効果が主たる作用です。 またZ-drugでは、BZDで問題となっていた耐性(長期の服用で薬の効果が減弱すること)や、反跳性不眠(長期服用を中断するとかえって眠れなくなること)が生じにくくなっています。 ゾルピデムは深い睡眠を増やすことが特徴的です。 同じZ-drugでもエスゾピクロンは抗不安作用も併せ持っています。


表2.ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の違い
  ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系
抗不安作用 あり 本文参照
筋弛緩作用 あり 少ない
耐性 あり 生じにくい
反跳性不眠 生じやすい 生じにくい


表3.GABA-A受容体作動薬の作用時間
分類 有効成分 T1/2(時間) Tmax(時間)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)
超短時間型 トリアゾラム 2.9 1.2
短時間型 ブロチゾラム 7 1.5
中間型 リルマザホン 10.5 3
エスタゾラム 24 5
フルニトラゼパム 7~24 1~2
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z-drug)
超短時間型 ゾピクロン 4 0.75~1.2
エスゾピクロン 5~6 1
ゾルピデム 2 0.7~0.9

※ T1/2(半減期)は薬の血中濃度が半分になるまでの時間で、薬効の続く時間の目安
※ Tmax(最高血中濃度到達時間)は薬物の血中濃度が最大に達するまでに必要な時間


GABA-A受容体作動薬の服用時の副作用と注意点

睡眠薬の効果は翌日以降も持続することがあります。 この持ち越し効果は、BZDやZ-drugだけでなくメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬でも認められることがあります。 作用時間が短い薬剤でも、翌朝に眠気や注意力・集中力の低下が起こる場合があるため、特に服用開始直後には十分な注意が必要です。 自動車運転をされる方は、主治医の先生やスタッフにご相談ください。 服薬してから入眠するまでや、途中で覚醒したときの自分の行動が思い出せないことがあります。 食べたことを記憶していないこともあります。 この前方性健忘は短時間・超短時間型の睡眠薬で時に経験される問題です。 この問題は、アルコールと薬の併用で起きやすくなります。 基本的に睡眠薬を服用する夜に飲酒は避けることが必要です。 また、薬は就寝の直前に服用するようにしましょう。 BZDを長期にわたり服用している方が服薬中断すると、前述の反跳性不眠に加えて不安や焦燥感が高まる退薬症状が出現することがあります。 突然休薬するとけいれん発作が出現することもあります。 BZDの減薬・中止は慎重に行うことが必要です。 複数の薬剤を高用量・長期間服用している際に問題となります。 高齢者の方がBZDを服用される際には、前述の転倒・転落以外にせん妄が問題となることがあります。 不眠がせん妄と関連することがありますが、BZD単剤で不眠の治療をすると状況を悪化させることがあります。 後述のメラトニン受容体作動薬は有効かもしれません。


表4.GABA-A受容体作動薬副作用とBZD中断時の症状
持越し効果 薬の効果が翌朝以降も持続すること
前向性健忘 服薬後の出来事が思い出せないこと
反跳性不眠 薬を連用している状態で突然服用を中止すると、服用開始前より強い不眠となること
退薬症状 退薬(服用中止)時、一過性に不安や焦燥、震えなどが出ること
奇異反応 睡眠薬服用により、不安や緊張が高まること


メラトニン受容体作動薬

メラトニンは夜間暗くなってから分泌されるホルモンです。 明るい環境下ではメラトニンはほとんど分泌されていません。 眠くなる数時間前より分泌され始め、真夜中に分泌のピークを迎えるとその後は減少します。 メラトニンがメラトニン受容体に作用すると眠るための準備が整います。 1日の睡眠と覚醒のリズム(概日リズム)を形成することにも重要な役割を担っています。 スマートフォン・タブレット・テレビ・パソコンの画面をメラトニンが分泌される時間帯に見ているとメラトニン分泌は抑制されます。 メラトニン分泌が抑制されることで寝付きが悪くなるだけではなく、概日リズムは遅れがちとなり寝起きが悪くなることもあります。 光の青色成分(ブルーライト)がメラトニン分泌に関わることが明らかになっています。 睡眠のためだけでなく、健康のためには夜間のブルーライトを軽減することが望ましいでしょう。 メラトニン受容体作動薬は睡眠薬としてだけではなく、概日リズム睡眠障害の治療薬としても使用されています。 服用後の半減期は短いものの、翌朝眠気が残っていることがあります。 受容体には長時間にわたり作用していると推察されています。 眠らせる作用としてはGABA受容体作動薬より弱いことがありますが、ごく少量でも眠気が強くなる方もいます。 概日リズム調整のためには、少量を実際の眠る時間の数時間前に服用していただくことがあります。 薬の用量と服用する時間については、主治医の先生やスタッフにご相談ください。


オレキシン受容体拮抗薬

オレキシンは、日本人が見出した覚醒維持のために重要な物質です。 オレキシン神経系は脳の覚醒中枢です。 睡眠時にはこの神経系の活動は、ほぼ停止しています。 覚醒作用を有するオレキシン受容体へのオレキシンの作用をブロックすることにより、オレキシン受容体拮抗薬は睡眠作用をもたらします。



過眠症治療薬

覚醒維持薬

前日に十分に睡眠をとっていても昼間の眠気が強く、普通は眠らないような状況でも眠くなったりすることがあれば過眠症が疑われます。 過眠症の日中の過度の眠気に対して覚醒維持薬が使用されます。 覚醒維持薬は、現在3種類が使用可能です。 現在、前述のオレキシン受容体作動薬が開発中です。


REM関連症状治療薬

ナルコレプシーには日中の過度の眠気以外に金縛り、入眠時幻覚や情動脱力発作(笑う・怒るなど強い感情を引き金として起こる脱力発作)を伴うことがあります。 REM睡眠と関係するこれらの症状はREM関連症状と呼ばれています。 REM関連症状に対しては三環系抗うつ薬のアナフラニールが従来、保険診療上の適応外使用が認められていましたが2013年より適応を取得しています。 口渇や頭痛などの副作用があります。



レストレスレッグ症候群治療薬

レストレスレッグス症候群では、主に夕方から夜にかけて主として下肢に不快な感覚が出現し下肢を動かしたくなる欲求が生じます。 動くことで軽減しますが、安静時、特に就床時に顕在化するため不眠が高度となることがあります。 鉄欠乏状態で症状が顕在化、もしくは悪化することがあり鉄の蓄えが少なくなっている場合には鉄を補充することが必要です。 典型例ではドパミン受容体作動薬が有効です。 この薬剤で十分な効果が得られない場合や、疼痛が強い場合には痛みに使用する薬剤が用いられます。 手脚が約30秒間隔で数秒間動く周期性四肢運動は、この病気の80%以上の方に認められます。 異常感覚はなく周期性四肢運動のみが観察され睡眠が妨げられる周期性四肢運動障害もドパミン受容体作動薬が有効です。



薬剤費(表5)

上記の薬剤の通常の使用量での薬剤費を表5にまとめています。 実際の負担額は同時に処方される薬剤数や医療費の負担額などで変わることがあります。 ここでは、各薬剤の薬価(注5)と3割の医療費負担の患者さんに単剤で処方された際の負担額をお示しします。

※ 注5

  1. 薬価とは処方される薬の公定価格のことです。 1錠あたりの薬の値段となります。 これに処方日数や服用量を考慮することで負担額が算出できます。

表5.主な睡眠障害治療薬の薬剤費
一般名 商品名
無印は先発品、*は後発品
用量
(錠、枚)
薬剤費
(円)
睡眠薬
  ベンゾジアゼピン系睡眠薬(BZD)
ブロチゾラム レンドルミンD錠0.25mg 1 222
ブロチゾラムM錠0.25(*) 1 71.4
フルニトラゼパム サイレース錠1mg 1 127
フルニトラゼパム錠1mg(*) 1 47
  非ベンゾジアゼピン系薬剤(Z-drug)
エスゾピクロン ルネスタ錠2mg 1 680
ゾルピデム マイスリー錠10mg 1 585
ゾルピデム錠10mg(*) 1 279
  メラトニン受容体作動薬
ラメルテオン ロゼレム錠8mg 1 713
  オレキシン受容体拮抗薬
スボレキサント ベルソムラ錠20mg 1 906
覚醒維持薬
モダフィニル モディオダール錠100㎎ 2 6,791
ペモリン ベタナミン錠10㎎ 2 227
メチルフェニデート リタリン錠10㎎ 2 168
REM関連症状治療薬
クロミプラミン アナフラニール錠10mg 1 82.3
レストレスレッグ症候群治療薬
  ドパミン受容体作動薬
ロチゴチン ニュープロパッチ2.25㎎ 1 2,335
ニュープロパッチ4.5㎎ 1 3,596
プラミペキソール ビ・シフロール錠0.125㎎ 2 820
  カルシウムチャネルリガンド
ガバペンチン レグナイト錠300mg 2 1,702
エナカルビル

最後に

自分にあった薬や薬の量が見つかるまで時間がかかることもあります。 自分の判断でお薬をやめたりせず、薬の相談をしながら適切な治療につなげていきましょう。


  • 初診・再診の方へ
  • 入院・お見舞いの方へ
  • 地域の方へ
  • 医療従事者・学生の方へ

広報誌:ほほえみ-最新号-

平成31年4月1日 更新!

▲ ページ上部へ